プレーモデルの活用方法
ここでは『Nメソッド』のプレーモデルを実際にどのように指導に活用すれば良いかという方法について解説します。
大局から具体へ
『Nメソッド』のプレーモデルは8章立てになっています。
【01バスケットボールの原則】がバスケットボールの最も大局観を体系化しており
章が進むにつれて具体個別の内容の体系化となっています。
プレーモデルの重要なところは、バスケットの指導やスキルにヒエラルキー・優先順位をつけて体系化することです。
枝葉と幹の部分をしっかりと区別して、幹の部分(影響の大きい部分)に力を入れて指導するということを可能にします。
なので、最も意識していくのは【01バスケットボールの原則】であり、章が進むにつれて枝葉になっていきます。
そして枝葉の部分はチームや指導者の考え方によって大きく変わってくる部分ですので、『Nメソッド』を参考にしながら、個々の指導者が自分で構築してくことが重要になります。
逆に言えば、【01バスケットボールの原則】や【02サイクルでの原則】、【03フェイズでの原則】などは、ほとんど全てのチーム指導者に共通するものだと考えています。
指導者は勉強すればするほど、どうしても具体的な戦術・スキルに意識がいきがちになりますので、この部分を強調しておきたいです。
MTMでプレーモデルを使いチームの課題を解決する
コーチング実践でも触れましたが、チームの指導にはMTMメソッドを使います。
01バスケットボールの原則でチームの問題を見つける
試合をしたらまずスタッツを確認しましょう。
そのスタッツと【01バスケットボールの原則】を照らし合わせて、チームの何が問題かを洗い出します。
02サイクルでの原則や03フェイズでの原則で問題を課題化する
問題と課題は区別します。
問題は出来ていないものです。
課題は問題を解決すべき形に具体化し整理したものです。
そして課題を解決するためには何をすればいいのかのステップを明確化することとセットになります。
わかりにくいので例をあげます。
スタッツと【01バスケットボールの原則】を照らし合わせてディフェンスリバウンドがチームの”問題”であると発見しました。
次に映像をしっかり確認し【02サイクルでの原則】のエンドオブDFのプレーモデルと照らし合わせて、BOXアウトができていないのか、スクリーンアウトができていないのか、飛び込みができていないのか、という解決すべき”課題”を発見します。例えばBOXアウトが課題だったとします。
そこからさらに課題解決のためのステップを設定します。
例えばBOXアウトだと、解決への目標を例えば「相手へのコンタクト率80%」と設定します。
そしてBOXアウトの練習をして次の試合を行い、ビデオ分析で「コンタクト率」を集計します。
スタッツと【01バスケットボールの原則】を照らし合わせてシュートの期待値がが”問題”であると発見しました。
次に映像をしっかり確認し【02サイクルでの原則】のトランジションOFなのかハーフコートOFに原因が有るのかを明確にします。
例えば、ハーフコートOFでの期待値が悪いと分かったら、【03フェイズでの原則】に照らし合わせてどのフェイズに問題があるのか発見します。
クリエイトできているがフィニッシュに問題があるのか、そもそもクリエイトできていないのか。
例えば、クリエイトがうまくいっていないのが問題だと分かったとします。
そうすると次に【05チーム戦術の原則】や【06グループ戦術の原則】と照らし合わせて課題化します。
・スペーシングが悪い
・ボールムーブメントが悪い
・アドバンテージに気づいていない
などに徐々に課題化できていくでしょう。
すると課題が【ドライブ時のスペーシングを広くする】だとが明確化されれば、解決すべきステップとして「必ず一人はコーナーにポジションする」と目標と解決策が設定できます。
それを練習して次の試合で、オフェンスのときには、必ず一人コーナーにポジションしているかチェックすれば良いのです。
このように【01バスケットボールも原則】で問題を発見し、【02サイクルでの原則】や【03フェイズでの原則】で問題を課題化して、それ以降の章の具体化されたプレーモデルで解決策を見つけていきます。
スタッツを確認する
大切なのは、印象ではなくまずはスタッツで振り返ることです。
接戦で、パスミスから失点で負けたとなると、「パスミスをなくそう」となりがちですが、スタッツで見ると実はTOVはさほどなくて相手にORを多く取られていた、というようなケースはよくあります。
印象ではなくスタッツをプレーモデルに照らして振り返るということが大切です。
振り返る指針としてプレーモデルをチームで共有しているということが大切なのです。
プレーモデル導入テンプレート
そうはいってもプレーモデルを緻密に作り上げるのは容易ではありません。
それに緻密に作っても、それを全て生徒と共有し、指導するというのは時間的にも非現実的ですよ。
そのために、まずは簡潔に指導にプレーモデルを導入するテンプレート的なものを作ってあります。
そちらを参考にしてみてください。