#03-02-3_1 期待値の高いシュートを打たせないための役割分担
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適切に役割分担をし、チームで連携して期待値の高いシュートを打たせない
相手の意図を読み、やりたいプレーをさせず優位性を作らせない
- 期待値の高いシュートを打たせないための役割分担
- 1線の役割
- 2線の役割
- 3線の役割
- 相手チームにアジャストしたDFの遂行
- DFが主導権を握り、TOVを誘発させる
すでに購入済みの方はこちら
・やりたいプレーを遂行させない
・ペイントを守る
オープン3ptを打たせない
やりたいプレーを遂行させない
ペイントを守る
オープン3ptを打たせない
- 1線の役割
- 簡単に良いシュートを打たせない
- ボールマンの意図を読みOFの遂行を妨げる
- 2線の役割
- プラグ
- ディナイ
- ヘルプ → peelスイッチ
- 3線の役割
- ローマン
- カバーダウン
- ゲッツー
役割分担はDFのコンセプトによって変わる戦術
DFの役割分担はチームのDFコンセプトによって大きく異なります。
ここで取り上げるプレーモデルはオーソドックスなもので、私がチームに取り入れているもののベースです。
大切なのは、しっかりとコンセプトを作り、プレーモデルに落とし込んで共有するということだということを再確認しておきます。
1線の役割
1線の役割は大きく分けて2つです。
- 簡単に良いシュートを打たせない
- 相手のOFのシステムとボールマンの意図を読んで、それの遂行を妨げること、あるいはプレーを制限する
DFはチームでするものですが、実際にボールマンのシュートに対して影響を及ぼすことができるのは(特にゴール付近以外では)ボールマンのDF(1線)だけです。
極端な話、その場でポンポンシュートを打たれていては、チームDFはできません。
そのことからも、まずはボールマンDFがすべきことは、簡単にシュートを打たせないことです。
そのためには、ある程度、間合いを詰めてシュートに対応できる距離で守ることが必要です。
よく言われているのは「ワンアーム」です。
ボールマンに手が届く距離を基準に守るということです。
この距離は、相手との関係性によって一律に規定できるものでは無いですが、ある程度の基準を決めて伝えることは必要だと考えています。
<動画準備中>
ボールマンにシュートを打たれないことが達成できている状態で、次に遂行すべきことは、相手OFの妨害です。
繰り返しになりますが、DFで大切なのは先手(主導権)をいかに取るかということです。
ただ「相手のOFのアクションにリアクションしているだけ」では常に後手であり、いつかやられてしまいます。
相手がやりたい選択肢をあらかじめ消しておく。
あるいは、プレーを制限してスムーズには遂行させない
という先手の取り方が必要になります。
よく行われているものは、ボールマンにプレッシャーをかけてやりたいことを簡単にやらせないというものです。
当然これは、効果的な戦術です。
他にも非利き手にドリブルをさせるようにDFすることも効果的です。
しかし、もしボールを奪うことが第一の目的ではなく、プレーを簡単に遂行させないことが目的の場合は、シュートのないエリアでは、思いっきりボールマンを離してパスを切りに行き、ボールマン以外の4人を5v4で守るようなDFも考えられるわけです。
しっかりと目的と手段をリンクさせて指導することが必要です。
パスを展開したいボールマンの意図を妨げる
ドラッグスクリーンでエントリーするために、ミドル側へドライブしたいボールマンの意図を妨げる
左サイドに展開したいボールマンの意図を読んで妨げる
都野選手のボールマンDFの読み・駆け引きの鋭さはこのFIBAの大会を通じて光っていました。
ノーミドルDFは私は採用しませんが、「プレーの制限」という意味では一番わかりやすいコンセプトのDFシステムです。
2線の役割
- 相手のスペースを消す
プラグDF
スタント&リカバリー - OFの遂行を妨げる
ディナイDF - ペイントタッチさせない
ヘルプDF→peelスイッチ
2線のDFの考え方は大きく2つあります。
1つ目は、味方のDFを助けるためにスペースを消すこと。
2つ目は、味方DFを助ける必要がないのでOFの遂行を妨げること、です。
味方のDFを助けるためにスペースを消すことを「プラグ(PLUG)DF」と呼び、OFの遂行を妨げるために自分のマークマンにボールを持たせないことを「ディナイ」と読んでいます。
2線のDFはこの2つのどちらを今すべきなのかを常に判断して遂行しなければいけないため、良いDFをするためには、OFの意図を読む判断力が必要になります。
プラグDF
Plug:栓
プラグは栓をしておくイメージです。
なので、ポジショニングでスペースを塞いでおくイメージです。
ボールマンがドライブを意図している場合はPlugDFでスペースを消しに行きます。
ボールマンの意図によってポジションを調整することが重要です。
スタント&リカバリー
スタント → リカバリー
に関しては、【01バスケットボールの原則】でも一度触れました。
期待値の高いオープン3ptを簡単に打たせないために2線はヘルプせずにスタント→リカバリーという役割でマイマンに戻ります。
スタント&リカバリーを実行するためのポイントは以下のもの
- あらかじめPlugポジションを占める
- 体の向きは半身のまま
- OFの意図を読み、キックアウトする前に動き出してリカバリーする
作成した解説動画です。
元々私はヘッジと呼んでいたましたが、スタントの方が主流のようなのでここでは”スタント”を使って書いています。
PlugDFのポジショニングができいない状態からスタントしにいくとリカバリーできなくなるので、繰り返しになりますが、Plugのポジションにいることが重要です。
ディナイDF
ディナイDFは多くのチームで指導されているので、一般的な2線のDFです。
ディナイDFの目的は、パスをさせないことです。
パスをカットすることではありません。
ボールマンからパスを供給させないことでOFの意図する遂行を妨げて、停滞させます。
ボールマンがパスと意図しているとはディナイDF
ドライブを意図しているときはプラグDF
と意図による使い分けが最も重要なポイントです。
ヘルプDF → peelスイッチ
2線が簡単にヘルプに出てしまうとキックアウトから3ptを打たれてしまいます。
現代バスケでは、キックアウトから3ptは期待値の高いプレーとされていますので、基本的に2線はヘルプせずに
Plug→stunt→recovery
という役割分担である、というのがこれまで見てきたベースです。
しかし、1線が完全に破られている場面であれば、そのまま簡単にペイント侵入されるよりも2線がヘルプしてペイントタッチを防いだ方がより期待値の高いシュートを防ぐことができると考えられます。
しかし、それでは結局キックアウトされてしまうので、ピールスイッチ(peel switch)という戦術でキックアウトからの3ptをDFします。
peelスイッチとは、ボールマンのDFが剥がれて(peel)スイッチするDFです。
以前は”エクスチェンジ”と呼んでいたようにも思います。
3線の役割
- ヘルプDF
ローマン - ローテーション
カバーダウン
ゲッツー
3線の役割は、ヘルプとそれに伴うローテーションです。
前記のように、現代バスケでは2線は簡単にヘルプしないというのが基本ですので、ヘルプは3線が行います。
そのヘルパーのことを「ローマン(low man)」と呼んでいます。
ローマンがヘルプに出て空いたOFのヘルプのヘルプを「ローテーション」特にゴール下を守ることを「カバーダウン」と私は呼んでいます。
ローマンがヘルプした場合、ボールマンにダブルチームのような形になるので、どこか(ヘルプサイド)で1v2の状況ができていることになります。
逆オーバーナンバーでのDFは必ずゾーンDFになりますから、このDFは「1人で2人守るゾーンDF」を遂行します。
これを「ゲッツー(get two)」と呼んでいます。
ローマン
ローマンは字の如く、低い位置(ゴール下)にポジショニングし、ドライブやカッティングでペイントに侵入してきたOFに対してヘルプを行います。
カバーダウン
カバーダウンは、カバーのカバーです。
特にゴール下を守る役割です。
カバーダウンが徹底できていないと、ヘルプすることによって逆にノーマークのゴール下をやられることになってしまいます。
ゲッツー
ゲッツーは、ヘルプに行くことによって生じる数的不利を1人で守る役割です。
必然的にゾーンDFの感覚になります。
※x4とx1の役割は逆でも良いです。
ローマン・カバーダウン・ゲッツー
まとめ
やりたいプレーを遂行させない
ペイントを守る
オープン3ptを打たせない
- 1線の役割
- 簡単に良いシュートを打たせない
- ボールマンの意図を読みOFの遂行を妨げる
- 2線の役割
- プラグ
- ディナイ
- ヘルプ → peelスイッチ
- 3線の役割
- ローマン
- カバーダウン
- ゲッツー
- 役割分担は「期待値の高いシュートを打たせないため」のであるという【バスケットボールの原則】が前提
- ボールマンの意図によってあらかじめ適切なポジショニングをしておくことが重要