Play Model

#03-01-6_2 期待値の高いエリアを優先的に守る

Basket_IQ

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#03プレーモデル:01バスケットボールの原則

相手のシュートの期待値を下げる

前回に引き続き、相手のシュートの期待値を下げるDFの原則を進めていきます。

⑥相手のシュートの期待値を下げる
  1. ボールとリングを全員で守る
  2. 守るべき優先順位 ←Now
  3. アドバンテージを作らせない

6.相手のシュートの期待値を下げる

守るべき優先順位

ボールとリングを全員で守るを意識が全員に生まれたら、次は守るべき優先順位をチームで共有します。

OF/DF表裏位一体を考えると、当然守るべきは、相手の「期待値の高いシュート」です。

参考記事
#03-01-5_1シュートエリアによるシュートの期待値
#03-01-5_1シュートエリアによるシュートの期待値

優先順位がわかっていないと・・・

守るべき優先順位がわかっていないと当然余計な失点が生まれます。

例えば

  • 苦しい体勢の相手にファールしてFT献上
  • 2v1でミドルシュートをチェックしに行ってノーマークのゴール下にパスされる
  • 1v1で守れているのにヘルプしてキックアウトから3ptを打たれる

などがよく見る光景です。

これらを整理するために、「◯◯の場合が◇◇」と全てパターン分けするのではなく、原則を共有していきます

守るべき優先順位のプレーモデル

最も期待値の高いゴール下でのシュート

次に高いフリースロー

そして、オープンな3ptです。

原則として、これらを優先的に守っていくことになります。

【守るべき優先順位】プレーモデル

期待値の高いシュートをチームで優先的に守る

  1. ペイントを守る
    チームでペイントを守る意識を持って、タフショットを多く打たせる
     <参考戦術>Dock
  2. ファールドローされない
    ブロックショットよりも、タフショットを打たせることを意識して守る
     <参考戦術>Wall UP
  3. オープン3ptを打たせない
    キックアウトからの簡単な3ptシュートをチームで防ぐ
     <参考戦術>ヘッジ&リカバリ

原則を共有した後、その原則をゲームで体現するには戦術の共有が必要です。

ですので、私が取り入れている戦術も一緒に紹介していきますが、大切なのは「原則の共有」です。

それがしっかりできていれば、「例外」の判断が選手ができるようになります。

原則がなければ、例外が全てパターンとなってしまいます。

そうなるとパターンは無限にできてしまいます。

① ペイントを守る

とにかくゴール下での簡単なシュートをさせない

これに尽きると思います。まずはここからです。

チェックポイントとしては

チームでペイントを守る意識を持って、タフショットを多く打たせている。

となります。

具体的にどのようにしてペイントを守るのか、という戦術に関しては、後のプレーモデルで徐々に具体性を上げて細かく体系化していくことになります。

逆にいうと、チームで行う全てのDF戦術は「ペイントを守る」ことにつながっていなくてはいけないわけです。

とにかく足と身体を使ってタフにペイントを守ることができないチームは弱いチームだと言えるでしょう

<参考戦術>Dock

ペイントを守ることに直接的に関わる戦術として私が採用しているのは「Dock」というものです。

戦術に関しては、後のプレーモデルで体系化しますが、軽く紹介しておきます。

ちなみにDockというバスケットボール用語は、私が作ったものなので、一般に通用するバスケットボール用語ではありませんのでお気をつけくださいう。

Dockという言葉は船着場とか母艦のようなイメージです。

画像のようなイメージで、みんながペイントエリアにくっつき(片足を入れる)ます。

ペイントを守るために、まずはDockの習慣を身につけさせます。

参考動画
ペイントエリアを守る<Dock>

② ファールドローされない

次はファールドローされないことです。

よくあるのが、相手が苦しい体勢でシュートを打とうとしている(タフショット)のに、ファールをしてしまってフリースローを与えてしまうというケースです。

本当によくあると思います。

これは

ゴール下でのタフショット→期待値1.0程度(多く見積もって確率50%)

フリースロー→期待値1.4(FTの確率70%)

というように、DFが相手のシュートの期待値を上げてしまっているケースですね。

期待値の考え方やプレーモデルをしっかり説くことで、このようなケースも減らしていけると考えています。

ポイントは

ブロックショットよりも、タフショットを打たせることを意識して守る

<参考戦術>Wall UP

こちらも戦術について一つ紹介しておきます。

私が強調するのはWall UPです。

Wall UPは名前の通り壁のように手を上げることです。

ブロックショットを狙うのではなくて、Wall UPする。ということを意識して、タフショットを打たせながらファールしないように注意しています。

参考動画
Wall UP

③ オープン3ptを打たせない

これは近年特に意識されている部分ですね。

3ptの期待値が高いということがデータ分析で明らかになってきたので、簡単には3ptを打たせないようにするというDFが必要になります。

特にドライブ&キックからの3ptシュートはどのチームも狙ってくるので簡単には打たせないルールと意識が必要です。

キックアウトからの簡単な3ptシュートをチームで防ぐ

簡単にオープンな3ptを打たれている場合は、DF戦術に何かしらの変更が必要だと言えるでしょう。

<参考戦術>スタント&リカバリー

ここでも私が採用しているDFを少し紹介します。

簡単な3ptをやられないためのDFとして2線の「スタント&リカバリー」を採用しています。

スタント

スタント(stunt):

Stuntは”妨害”の意味のようです。

具体的にはボールマンDFに対して少しだけ妨害して、遅らせたり制限したりすること。

スタントと対の考え方になるのが「ヘルプ」です。

ヘルプはボールマンDFを完全に助ける意味で、マークマンの入れ替わり(スイッチ)が行われるのが通常です。

スタントはあくまで守るのは自分のマークマンで、自分のマークマンに戻れる範囲内でボールマンDFの協力をするようなイメージです。

リカバリー

次はリカバリーです。

リカバリはマイマンに戻ることです。私は割と「復帰する」と言いますが、一般的かは分かりません。

リカバリ:

自分のマークマンに復帰(戻る)すること

2線がドライブに対してヘルプせずに「ヘッジ&リカバリ」することでキックアウトからの簡単な3ptを防いでいきます。

参考動画
2線DFのスタント&リカバリー

元々私はヘッジと呼んでいたましたが、スタントの方が主流のようなのでここでは”スタント”を使って書いています。

参考動画
ヘッジしないと3ptをやられる

戦術の応酬・時代はめぐる

上記の考え方は、普遍的なものですが、バスケットボールの戦術はものすごいスピードで変遷しています。

OFが期待値に基づく「ペイントor3pt」を基本と考えるようになり戦術を組み立てたら、DFは「ペイントと3ptを厚く守る」ようになります。

近年のNBAではミドル(ロングツー)のDFが本当にスカスカになってしまっていました。

とにかく3ptを守るために激しく出て、結果抜かれてもヘルプDFはゴール下付近のペイントで待ち構えているみたいな状況です。

そうなると、結果的にペイントでのシュートや3ptの期待値は下がって、ノーマークのミドルショットの期待値との逆転現象が起こってきます

NBAクラスだとフリーならミドルジャンパーもかなり高確率で決められますから当然です。

その結果、2022辺りからミドルショットやポストアップからの(ゴール下ではない)ペイントショットが増加したように私は感じてます。

しかし、この変遷も「期待値の高いシュートを選択する」という原則については一貫しているわけです。

その「期待値の高いシュート」がDFやOFの戦術によって多少は移り変わっていくということです。

このように、戦術の流行が変遷しても根っこの考え方がは変わらない。それが【バスケットボールの原則】ということです。

これがしっかり頭に入っていれば、どんな戦術が流行しても、自分で最適解を導いていけるはずです。

まとめ

【守るべき優先順位】プレーモデル

期待値の高いシュートをチームで優先的に守る

  1. ペイントを守る
    チームでペイントを守る意識を持って、タフショットを多く打たせる
     <参考戦術>Dock
  2. ファールドローされない
    ブロックショットよりも、タフショットを打たせることを意識して守る
     <参考戦術>Wall UP
  3. オープン3ptを打たせない
    キックアウトからの簡単な3ptシュートをチームで防ぐ
     <参考戦術>ヘッジ&リカバリ
  • 何を頑張って守るのか、というプレーモデルを示して共通認識をもつことが大切
  • 戦術よりも原則。守るための戦術はチームによって変わるので参考程度に

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スタンフォード女子の試合と『岡田メソッド』に衝撃を受けてPrinceton offenseとバスケットボールの体系化を極めるために日々勉強中
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