#03-01-3_3TOVを減らす3つの原則
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#03プレーモデル:01バスケットボールの原則
③シュート本数を増やす
- シュート本数の計算方法
- オフェンスリバウンドを増やす3つの原則
- ターンオーバーを減らす3つの原則 ←Now
03 シュート本数を増やす
【復習】
これまでシュートの本数は
【シュート本数】=【ポゼッション】+【OR】ー【TOV】
で計算でき、基本的には【OR】を増やすか【TOV】を減らすしか方法がないということを解説しました。
今回は【TOV】を減らすことについて解説します。
TOVを減少させるためのプレーモデル
TOVを減少させるためのプレーモデル(原則)は以下です。
- トラップDFにかからない【プレッシャーリリース】
- TOVの原因となるプレーを減らす
- TOVが減少するスキルを身につける
この3点を指導しましょう。
【01バスケットボールの原則】では大枠を示しあまり具体的な戦術やスキルまでは整理していないのですが、TOVに関しては戦術・スキルが直接的に関わってくるので戦術・スキルに関しても設定しています。
したがってここで挙げる戦術・スキルは、後の章でも重複して出てきます。
その中で特にTOVに関係するものをピックアップし再編集しているようなイメージです。
プレーモデル作成は選手のためよりも指導者自身のため
このようにプレーモデルには
・全体像から大切なスキルを整理する
・各スキルから全体の解像度が上がる
という双方向性があります。
プレーモデルを作成していく中で、双方向に作用し自分のバスケットボールが整理され、どんどん解像度が上がっていくというのがプレーモデルを作る大きなメリットです。
選手のためというよりも指導者自身のために作ると言っても過言ではないのです。
①トラップDFにかからない
これはいわゆる【プレッシャーリリース】になります。
プレッシャーリリースはのちに
【チーム戦術原則】と【個人戦術・スキルの原則】
で体系化しているのでそちらの内容になります。
意識しておいていただきたいのは、リバウンド同様、プレッシャーリリースも重要さの割に指導されていないと言う点です。
意図したOFを遂行する練習はたくさん時間を取るのですが、相手のDFに対応するOFの練習はあまりなされていません。試合になってびっくりしてやられるパターンが多いです。
【プレッシャーリリース】の練習としての優先度は高いです。
そのことは頭に入れておきましょう。
試合の振り返りのときには、相手のトラップDFに対してしっかりと対応できていたかというところは常にチェックしましょう。
②TOVの原因となるプレーを減らす
TOVが起こりやすいシチュエーションを整理します。チームとしてこのことに注意を払う習慣が浸透すると、TOVはかなり減ると考えています。
それらのシチュエーションに注意すればTOVの多くを防ぐことができます。
TOVの原因となるプレーを減らす具体的なプレーモデルは以下です。
- スペースのないところへのドライブをしない
- 距離の長いパスをしない
- パスラインが作れていないパスをしない
です。
ちなみに課題を解決していくための考え方として有名なパレートの法則というものがあります。
これもビジネス界発祥のものですが、バスケットにも応用できますね。
自チームをしっかり分析してどのようなシチュエーションでTOVが起こっているのか整理してプレーモデルを作成していきましょう。
1.スペースのないところへのドライブをしない
育成年代では、ドリブルスキル未熟なため、ドライブ時のTOVが多いです。
しっかりとスペースを見て判断することが大切です。
ミスしたかどうかの結果で指導するのではなくて、その前の判断を指導するようにしましょう。
具体的な判断基準は以下です。
- ダブルギャップをつくる
- ヘルプDFの位置どりを見る
一つ目は、オフェンスのスペーシングについてです。
広いスペースにドライブをするために、ダブルギャップを作ってドライブするということを基準とするのが良いでしょう。
もう一つは、DFの位置どりです。
スペースの有る無しを何で判断するかというとDFです。
ここは大切なポイントです。OFが広がっていても、DFが広がっていなければ、スペースは無いんですね。
しかし、OFが広がればDFも広がることが多いので、自分たちが能動的に作用できることとしてOFのスペーシングが大切ということです。
ですので、本質的なこととしては、DFの位置どりです。
DFを見て、DFがヘルプできない・していない状態であればドライブが有効です。
逆にOFが広がっていてもDFがヘルプに準備していれば、スペースはありません。
ヘルプDFを見てドライブしましょう。
2.距離の長いパスをしない
パスミスの主な原因はいくつかありますが、多いのがパスの距離が長いケースです。
パスの距離は”ワンスパン”が目安です。
パスを出すときに、しっかりワンスパンの距離まで受けにくるのを待つことが大切です。
パサーが待てずに距離が長いパスを出してしまってミスのケースが多いです。
3.パスラインが作れていないパスをしない
ワンスパンはOFの要素でしたが、ドライブと同じで本質的なのはDFを見ることです。極端な話、DFがいなければどんなに長い距離でもパスカットされることはありません。
DFを見て、パスラインが確保できているかをお互いに確認することが大切です。
③TOVが減少するスキルを身につける
先ほどは、チームとして気を付けるとこでした。
次は個人スキルとして、ミスが起こる原因となる主なプレーを整理して指導します。これらのスキルを身につければTOVが減少するでしょう。
- DFを見てパスが出す
- ポストフィードのスキル
- ワンステップ目で判断する
- ストップの技術(ランニングステップを踏まない)
- 少ないドリブルで目的を達成する(無駄なドリブルをつかない)
一つずつ見ていきましょう。
1.DFを見てパスが出せる
最も重要な項目です。
多くの場合、TOVになるかどうかは結局DF次第ですよね。雑なパスを出してもDFがカットしなければほとんどミスにはなりません。
DF見て判断をしてパスが出せるということが大切です。
指導者は、TOVの原因をしっかりと見極める目が必要になりますね。
2.ポストフィードのスキル
シールしているポストにボールを入れるパスです。
こちらも、試合での出現率の割に指導がされていないことが多いスキルです。
ポストへのパスは
- 自分のDFを超える
- レシーバーのDFに取られない
という2人のDFが関与するので難しいのです。
外回りの横へのパスは、基本的にレシーバーのDFだけが関与してくるので簡単なのです。
3.ワンステップ目で判断する
次は「ワンステップ目で判断する」です。
ワンステップでプレーをする習慣を身につけることで、ツーステップ目を相手の逆を突いたり、ストップする保険に使えます。
ワンステップで判断するためにはその前のステップをどのように踏むか意識しなければいけません。
このようにワンステップで判断する習慣をつけていけば、さらにその前から判断する主観がついていくことになります。
4.ストップの技術(ランニングステップを踏まない)
「3.ワンステップ目で判断する」とも関わりがありますが、ツーステップでしっかりストップする技術です。
ストップできない選手はTOV の多い選手です。すなわち試合に出られない選手です。
ストップ→ピボットすればほとんどの場合はミスになりません。
TOVを減らすためにストップの指導は大切にしましょう。
5.少ないドリブルで目的を達成できる(無駄なドリブルをつかない)
不必要なドリブルをつくことによって、直接ミスが出たり、ドリブルが必要な場面でドリブルが残っていないということが起こります。
簡単に言えば、「無駄なドリブルをつかない」ということになるのですが、育成年代ではそもそも「無駄なドリブル」がどんなドリブルなのかわかっていないことが多いと思います。
なので「無駄なドリブルをつくな!」では伝わらないことが多いと思っています。
そこで、必要なドリブルとは「目的を達成するための最小回数のドリブル」のことと定義します。
ですので、まず目的があって、その目的を達成するために、そのドリブルが必要だったかということを指導していくと良いと考えています。
※この辺りは、【07個人戦術・スキル】の章のドリブルで詳しく解説しています。
まとめ
私は以上の事柄をTOVを減少させるためのプレーモデルとして設定しています。
繰り返しになりますが、大事なことは
- 現在のチームにあったプレーモデルを設定する
- プレーモデルをプレイヤーと共有する
ということです。