#03-01-5_2-2 【アドバンテージ】②位置的優位性
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#03プレーモデル:01バスケットボールの原則
⑤シュートの期待値を上げる
- シュートエリアによるシュートの期待値
- Good shootを打つために【アドバンテージ】に気づく・作る・攻める
- 数的優位性
- 位置的優位性 ←Now
- 個の優位性
- 場面的優位性
- そもそもの「シュート力」を向上させる
- 期待値で考えるバスケットの落とし穴
01-5 シュートの期待値を上げる
さて、前回の復習です。
【アドバンテージ】をクリエイトして攻める
結局OFとは「期待値の良いシュートを打つためにアドバンテージを作って攻めることが目標である」という話でした。
- 数的優位性
- 位置的優位性
- 個の優位性
- 場面的優位性
前回は一番強い優位性である【数的優位性】のプレーモデルでした。
今回は次に強い優位性である【位置的優位性】です。
01-5_2_2 アドバンテージ②位置的優位性
位置的優位性とは「DFに対し良い位置占める」ことです。
「ボールとリングと自分」と「マークマン位置取り」との関係性による1v1の位置的優位性と5v5の戦いの中で10人の位置取りによるコート全体での位置的優位性があります。
位置的優位性のプレーモデル
位置的優位性=良い位置を占めること
数的優位性は、オーバーナンバーの次に強い優位性と私は考えています。
オーバーナンバーは、優位性が非常にわかりやすく強力ですが、力の拮抗する相手に対して多くの数的優位性をクリエイトして攻めるというのはなかなか難しいです。(その分、その少ないチャンスを取り切るという力が重要になるのですが)
そのため、この位置的優位性をしっかりと認識し攻めることができるということが、最も指導によって差がつく部分だと思います。
そして優位性の中で最もバスケIQが要求されると考えています。
以上より、チームとして良いオフェンスを構築できるかどうかはこの位置的優位性を上手く攻められるかどうかと言っても過言ではないほど重要な項目だと考えています。
では【位置的優位性】端的に言えば「良い位置を占めること」です。
では具体的に良い位置とは何なのか、というと以下の3つに集約されます。
- DFより内側(リング側)
- ゴール下
- 広いスペース
1つ目は、DFより内側(リング側)を占めることです。
DFより内側はボールが入れば、すなわち数的優位になりますから、DFより内側をてボールを受けることは重要です。
2つ目はゴール下です。
これまで確認してきたように、ゴール下は非常に期待値の高いエリアであり、オフェンスはいかにゴール下にボールを運んでシュートを打つかが大切です。
そのため、ゴール下を占め、ボールが入る(入った)状態はオフェンスにアドバンテージがあるといえます。
3つ目は広いスペースです。
広いスペースは狭いスペースに比べてヘルプがしずらいので1v1でリングにアタックしやすくなります。その結果ゴール下を攻めることができます。
位置的優位性のプレーモデル
先に書いた3つの位置的優位性
- DFより内側(リング側)
- ゴール下
- 広いスペース
を得るための具体的なプレーモデルを解説していきます。
- DFより内側(リング)を占める、ゴール下を攻めるための【ポジショニングの戦い】を仕掛ける
- 守られない、守らせないための【視野の戦い】を仕掛ける
- 広いスペースを攻める
- DFに【ポジショニングの戦い】を仕掛け、ゴール下を攻める
- オンボール:インラインをめぐる【ポジショニングの戦い】
- オフボール:DFが正しいポジションを取りずらい場所・局面を攻める
・ゴール下(インライン上)をめぐる【ポジショニングの戦い】
・トランジションでの【ポジショニングの戦い】
- DFに【視野の戦い】を仕掛ける
- 自分を守らせない、ヘルプさせないための【視野の戦い】
- 広いスペースを作って攻める【スペーシング】
重要な位置的優位性は3つのキーワードに集約されます。
この3つをうまく指導できれば、OFが非常に上手なチームが構築できるでしょう。
またこれら3つは密接に関係しているので、一つの動きが3つの要素の複数の項目に関連していることも多いです。厳密な区別にこだわって指導するというより3つを総合的に理解させることが大切です。
DFに【ポジショニングの戦い】を仕掛けゴール下を攻める
1つ目はゴール下を攻めるための【ポジショニングの戦い】です。
OFとDFの攻防は究極的には【ポジショニングの戦い】に集約されます。
OFはDFに対して、DFはOFに対して良い位置を占めた方が勝ちます。
そのためにOF/DFそれぞれの良い位置とは何かを明らかにし、OF/DFが良い位置(と悪い位置)にいるかどうかを判別できるIQを身につけさせ、相手のミスに気づくことが肝要です。
OF/DFは表裏一体です。
基本的に、DFはOFに対して「良いポジション」を取り続けなくてはいけません。
しかし、それは非常に困難なので、DFがポジショニングのミスを犯します。
そのミスに気づき、ミスをつくのが【ポジショニングの戦い】です。
育成年代では、DFが比較簡単にポジショニングのミスを犯すので、クリエイト能力よりもそのミスに気づき、つくということの重要性が高くなります。
繰り返しになりますが、ミスをつくためには「DFの正しいポジショニング」の理解が必要ですし、DFのミスに対してどのような攻め方をすれば良いのかのある意味一問一答のドリル的な知識も必要になります。
一番のベースである「バスケバスケットボールの原則」では、細かなそれらのケースを一つひとつを見ていくのでなく、大きなコンセプトを提示していきます。
<参考>
OF/DF表裏一体の一つひとつの動きに関しては、リレントレスのリョウタコーチのnoteの記事も参考になります。
さて、DFのレベルが一定以上になると、OFが何もしていないのにDFがポジショニングのミスを犯すということが少なくなるので、OFが能動的にDFのミスを誘うプレーをする必要性が出てきます。
そのときにOFプレーヤーが「どんなプレーをすればDFがミスを犯しやすいのか」を理解していることが大切になります。
つまり効果的なプレー(動き)の理解が必要です。
それを理解せずに動いているといわゆる「無茶苦茶な動き」になり動いているのにチャンスが生まれないという状況になってしまうのです。
よくありますよね。
コーチがベンチから「動け!動け!」と檄を飛ばし、プレーヤーは頑張って動くんですけど、空回りというかDFは全然動いていない、みたいな状況。
それは、選手がどんな目的で、どういう動きをすれば効果的かがわかっていないからなのです。
それでは、【ポジショニングの戦い】の具体的な内容を見ていきましょう。
オンボール:インラインをめぐる【ポジショニングの戦い】
オンボール(ボールマン)のポジショニングの戦いで重要なのはインラインです。
この図からも分かる通り、オフボールでは基本的にDFはインライン上には立ちません。そのためオフボールではリングまでの最短距離を走る「バスケットカット」はいつでもできるというのも実は大事なことです。これは後述する内容になります。
インラインの攻防が大切になるのは基本的にボールマンです。
インラインが空いている場合は、インラインをアタック(ドライブ)することで、ゴール下を攻められます。
そのためボールマンDFに関しては、常にインライン上を占めている必要があります。
ボールマンはインラインが空いている(DFに対しズレが作れている)場合は、迷わずインラインをアタックすることが正解になります。
位置的優位性を攻める
余談
私の中でボールマンDFのインラインの攻防において印象深いのは「ノーミドルDF」です。
ノーミドルDFについてはこちらの記事で
以下この記事を一部引用します。興味のある方はどうぞ
- コラム:ノーミドルDF
-
10年くらい前、「ノーミドルDF」が大流行しました。とにかくミドル側へのドライブは全部シャットしてエンドライン側に行かせるというものです。
したがって、ボールマンDFはエンドライン側への方向付けが大切になります。その方向づけを”ディレクション”と呼びます。
当時はゲーム中にベンチから「ディレクション!!」という檄が飛びまくったものです。
当時は「ノーミドルDFが理論上もはやバスケの基本」くらいの空気がありましたので、私も当然ノーミドルを指導してみました。しかし、すぐに「ダメだな」と思いました。
ノーミドルのためにボールマンDFがディレクションすると、インラインを開けてしまう場合が非常に多いのです。これが私にとっては致命的に思えました。
さらにノーミドルDFはヘルプDFありきの戦術なので1v1で守るという責任感も薄れます。オフボールDFのミスが即失点につながることが多く、被イージーレイアップが増えました。
ただ理論値はやはり高く、今でもOFに自由に選択肢を与えない「DFが主導権を握るシステム」としては一定の評価があると思います。
一時期のようにノーミドルの徹底をしているところはほとんどなくなったように思いますが、「45°より下は基本としてミドルライン側に行かせよう」としているチームはとても多いように思います。
ちなみにノーミドルの徹底で素晴らしいDFを構築されていたのは正智深谷高校ですね。あそこまで徹底して指導しないとなかなか上手く行かないのがノーミドルDFだと感じています。
もっと大きな視点でノーミドルDFが廃れたのは第一はPnRのスキルで特にスネイクのスキルが定着したからだと思います。
ノーミドルDFにおいてPnRをどう守るかの定番は「アイスDF」です。
アイスDFでPnRをノーミドルで守るのが主流でしたが(それゆえ日本でもアイスDFは一時期よく耳にするようになりましたが、アイスは結構難しいので、そこまでちゃんと指導できているチームは少なくて、ノーミドルDFがいわゆる「片手落ち」状態で指導されていて、PnRされるだけで割とノーミドルが崩れるというチームも多く、ノーミドルが廃れるのが早かった原因でもあると思います)、アイスDF対するカウンタームーブとして「スネイク」が定番化して結局ノーミドルを貫くことが難しくなってNBAでは今アイスDFを見ることは少なくなりました。(もちろん今でも戦術の一つとして一般的に残っています)
もう一つの理由がスロットからの1v1やPnRの増加です。
一昔前はウイング(=45°)からのオフェンスが多かったのですが、現在はスロット(=ツーガードポジション)からの1v1やPnRが主流になっています。
ウイングに比べてスロットはインラインをアタックされたときのヘルプが難しいのでインラインが空いてしまうことのデメリットが非常に大きいです。
そのため、一昔前に比べてさらに1v1でボールマンがインラインを守ることの重要性が増したように感じます。
このように、あるDFが流行れば、そのカウンタースキル(戦術)が増え、またそのカウンターDFが考案され、というようにバスケは日々進化しています。
流行を追うのが必ずしも正解ではないというのはこの理由です。
ちなみに、当時ノーミドルが”バスケットボールの基本”レベルで語られていたときに私が受けたクリニックの中で「ノーミドルはしない」と言い切っていたのが元日本代表女子HCの中川文一氏と元日本代表男子HCのジェリコ氏でした。
この2名のコーチのクリニックは複数回受講していますが、バスケットボールを深く考察し、ご自身の確固たるコーチングフィロソフィーが構築されていてブレない指導で本当に勉強になることが多かったです(だから複数回受講しているわけですが)。
流行に敏感(最新情報を知っている)なのは大切ですが、それを取捨選択するのは指導者の哲学であり、それが何より大切なことだということが大変よくわかったできごとでした。
ボールマンOFが一度インラインを取れた場合はインラインを確保し続けて局所的な数的優位性へと繋げられます。
そのためのスキルとしてはジェイルが有効になります。
インラインを確保できた場合、スピードよりもインラインを確保し続けること(=数的優位性を確保すること)の方が大切です。
優位性が
位置的優位性 → 数的優位性
へとランクアップして切り替わったことの認識が非常に大切です。
ただ「チャンス」と認識するのではなく、チャンスの解像度を上げて「今どんな優位性ができてるか」を瞬時に判断してその優位性を攻めるための的確なスキルを発揮することが肝要です。
オフボール:DFが正しいポジションを取りずらい場所・場面を攻める【ポジショニングの戦い】
先ほども少し触れましたが、オフボールのDFに関してはインライン上を占めること良いDFというわけではありません。
DFの基本的な原則を確認しておきましょう。
- ボールとマークマンの間のスペースに立つ
- マークマンよりもリング側に立つ(マークマンとリングの間のスペースに立つ)
ということが、まずざっくりとしたDFのポジションで重要な原則です。
ということはOFは
・DFがこの2つを同時に満たすことが難しいポジションや動きをする
あるいは
・DFがこの2つをミスしている場合それつく
ということが大切です。
OFとDFは表裏一体です。
DFが正しいポジションを取りずらい場所:ゴール下(インライン上)の【ポジショニングの戦い】
ではDFが2つの原則を同時に満たすことが難しいポジションはどこか?
それはゴール下(インライン上)です。
図のようOFがゴール下(インライン上)にポジションした場合1と2を同時に満たすことは困難(というか物理的に無理)だとわかります。
ゴール下①の場合は簡単にパスが入りますし
ゴール下②の場合は少しスキルは必要になりますが、裏パスが通れば簡単な2点につながります。
ではDFはどうするか。
横に密着して立つことになります。
横に密着して立つことを3/4ディナイとかスリークォーターディナイ、あるいは簡単に半身と呼びます。
では、DFが3/4ディナイで守ってきた場合、OFはどうするか。
アングルを変えてパスを通します。
このようにOFが正しくプレーすると、ゴール下は非常に守りにくく、さらに得点にもつながりやすいのでゴール下を攻めるということの大切さがここでも確認できます。
ただし、これはOFが裏へパスを通すスキルとアングルを変えてパスを入れる戦術・スキルをしっかり習得する必要があります。
そしてこれは重要度の高い戦術・スキルだということがわかります。
ゴール下へのパス(ポストフィード)も重要さの割に指導では軽視されている戦術・スキルの代表だと思っています。
パスのスキルとシールのスキルこの2つがどちらも正しく発揮できて初めてパスを通すことができるので、練習が必要です。
ポストフィードを徹底していると感じるのは桜花学園です。パスもシールも非常に上手でかなり練習していることが伝わってきます。
ここでもう一つ重要なことを付け加えておきます。
それは、ゴール付近のポジショニングの戦いでは、DFの方が動く距離が長くなるということです。
通常の攻防では、DFがリング側にいるので、DFの方が動く距離は短くなります(内線の利)。
しかしゴール下近辺では適切なポジションを取るために、OFはほとんど動かないのに対してDFは頑張って動く必要があるのです。
DFだけが頑張って動かなくては、良いポジションをとれない
インラインからずれている場合
ゴール下の【ポジショニングの戦い】において、インライン上に位置を占めることは大切です。
インラインからズレているとどうなるか見てみましょう。
このように効果的な攻めができなくなってしまいます。
ゴール下やポストでポジションするときは、インライン上にポジションするようにしましょう。
DFが正しいポジションを取りずらい局面:トランジションでの【ポジショニングの戦い】
次は「DFのポジションのミスをつく」ケースです。
以前にも書いたように、カテゴリが下がる、あるいは習熟度が下がるほどOFが工夫をしなくてもDFがエラーを起こすケースが多くなるので、「ミスをつく(エラーを攻める)」認知的な部分の重要度が上がります。
ですので、どんなときでもDFがポジションをミスしていないか認知することは大切なのですが、ここでは「構造的にミスしやすい」局面を取り上げます。
それはトランジションです。
トランジションはボールマンとの距離が伸び、守るスペースが広くなるのでポジショニングの調整も大きくなり、それゆえエラーが起こりやすいです。
先ほどの「ゴール下でのポジショニングの戦い」と合わせるとトランジションの局面でゴール下を狙うことはとても有効です。
DFに【視野の戦い】を仕掛ける
DFで重要なのが上記の適切なポジションを取ることとボールとマークマン両方のビジョンを確保することです。
- ボールとマークマンの両方を同時に視野に入れる
「ボールとマークマンの両方を同時に視野に入れる」ことを単純に「視野を確保する」とか「視野をとる」と言います。
ということはOFは
・DFが両方を同時に視野に入れることが難しいポジションや動きをする
あるいは
・DFが両方を同時に視野に入れていないミスしている場合それつく
ということが大切になります。
OF/ODがこのことを理解していれば、OFがDFが両方を同時に視野に入れることが難しいポジションや動きをし、DFがミスをしていれば即座につく。DFはそれに対抗し両方を同時に視野に入れ続ける努力をするという攻防がくり広げられます。
これを【視野の戦い】と呼んでいます。
この章では主に、DFが両方を同時に視野に入れることが難しいポジションや動きをすることをメインに取り上げますが、常にDFが視野のミスをしていないかを意識しながらプレーすることはとても大切です。
DFが自分から視野を切ったら、攻める
自分を守らせない、ヘルプさせないための【視野の戦い】
まずは、「DFが視野を確保することが難しいポジションや動き」に関してですが、大事なポイントは2点です。
- 視野から外れる方向(背後)に動く
- 深さをとる
この二つは重なる部分も多いです。
こういった動きをすることで、DFが視野を取るのを困難にさせます。
DFがマークマンしか視野に入れてない状態であれば、ボールマンにヘルプができません。
ボールマンしか視野に入れてなければ、自分を守ることができません。
コーナーで深さを作り、自分から視野が外れたら攻めます。
ダンカースポットで深さを作り、自分に視野を注目させることで、DFにヘルプに行かせない。
視野から外れる方向(背後)に動く
OFは視野の戦いを仕掛けるときは基本的にDFの背後方向へ動きます。
例を見ていきましょう
◆例1 ローポストからのムービング
DFが密着している場合は、OFに先に動ける優位性があるので、一歩で振り切るイメージでハイポストにフラッシュすることで、ボールを受けることができます。
このケースでは、深さがあるのでDFは視野がとりづらいポジションです。
この場合は、フラッシュするのではなく、DFの視野を確認しながら視野が切れた瞬間に背後へと動きます。
この一連の動きを【視野の戦い】と呼んでいます。
【視野の戦い】がわかっていないと、このケースでフラッシュしてしまいます。
このケースでフラッシュすると、自分からDFの視野へと飛び込んでいく動きになるので、DFは非常に守りやすいです。
視野の戦いを仕掛けることで、
・DFがボールから視野を切る=ヘルプできない
・DFが自分から視野を切る=自分を守れない
という状況を作り出します。
◆例2 ローポストに入った後の動き
これらの動きは、戦術とも関わってくいるので、これ以外の動きが間違いというわけではありません。
【視野の戦い】を仕掛ける場合、この動きになるということです。
このポストに入った後の視野の戦いを含むカッティングは非常に大切だと思っています。
これまでは、ポストから1v1をするためになるべく広がってスペーシングして動かず邪魔しないというような指導をしていたのですが、それだとDFがマークマンをある程度放っておけてしまう(視野を切っても元の場所にいるので怖くない)ので逆にポストにヘルプに行きやすくなります。
DF側は「ドリブルついたらダブルチーム」などの約束事がある場合が多いです。
OFが広がって止まっていると、DFが先に良いポジショニングから約束事を遂行させることができてしまうので、OFが後手になってしまいます。
今ではOFが【視野の戦い】を中心に能動的にDFを動かして、DF戦術を遂行させないことが重要だと感じています。
ポストのプレーではありませんが参考になる動きです。
45→コーナーへDFの背後方向への動きで、視野から外れる
逆サイドにボールがあるときにDFの視野から外れる方向へと徐々にポジションを変えていく
ゴードンは本当に視野の戦いが上手い選手です
また、DFの視野が切れた瞬間のカッティングも非常に重要です。
先ほども少しふれましたが、オフボールではインラインが空いている場合がほとんどなので、基本的にインラインを攻めること自体はいつでもできます。
しかし、ただインラインにカッティング(バスケットカット)しても当然守られます。
DFが守れない状態=視野が切れている状態、であるならば、第一の選択肢はプレーモデルに従えば最も強力にゴール下を攻められるバスケットカットになるはずなのです。
- 補:インライン上での【視野の戦い】
-
補足ですが、【視野の戦い】においてもインラインは大切です。
しかし、限られた場面での出現になるので、最もベーシックな原則を取り上げているここでは省いています。
◆ インライン上での視野の戦い
インライン上での視野の戦い最近はあまり見なくなりましたが、3out2inではよく見かけたエントリーです。
これは
【視野の戦い】ができて初めて効果的になる戦術です。
しかし実際にはそれができておらず、ただゴール下からウイングにミートしているだけで全てエアースクリーンになっている、というチームをたくさん見ました。
詳しくはもっと後のプレーモデルで解説しますが、ボールから視野を切っているときには基本的にパスが通ります。これは非常に大切な原則です。ボールを見てないわけですから当たり前ですが、この判断ができない選手がほとんどです。DFの視野を見ずにポジションだけを見てパスを出しているのですね。
これが徹底して指導されていたのは、布水中学で大倉選手を擁して全中優勝した石過コーチが指導されていた金沢学院高校でした。
ただなんとなくそれっぽいポジションについているだけのDFに対してトランジションでもハーフコートでもバンバンパスを通してました。
深さを作る
次の原則は深さを作ることです。
具体的には、コーナー(ディープコーナー)とダンカースポットです。
これらのポジショニングは“スペーシング”として語られることが多いですが、同等以上に【視野の戦い】において大切です。
スペーシングにおいてコーナーを使う意識は大切ですが、その指導だけだと、逆サイドでのポジショニングが疎かになります。
スペースとしてはコーナーでも中途半端な位置でも大差がないからです。
【視野の戦い】を考えると、逆サイドでのコーナーのポジショニングが非常に大切だとわかります。
コーナーやダンカースポットでの【視野の戦い】を動画で見てみましょう。
◆DFの位置によってはフラッシュも有効
◆視野の戦いを仕掛け、気付かれたらやめる
お気づきかと思いますが、深さを作る動きというのは構造的にDFの背中側(背後)に動く【視野の戦い】になります。
さらに次に解説する【スペーシング】を取ることにもなりますので、コーナーとダンカースポットのポジショニングは【位置的優位性】を得るために非常に大切だということです。
広いスペースを作って攻める【スペーシング】
これは非常にわかりやすいですね。
ツーギャップやダブルギャップというスペースを作って攻めることや、トランジションにおいてコーナーランをすることなどが具体的なプレーとして挙げられます。
止まってスペーシングするだけではなくて、カッティングで能動的にダブルギャップを作ることも特に5outでは重要です。
◆スペーシングの意識が低くダブルギャップを作れていない
5outのアライメントでは基本的にダブルギャップができていないので注意が必要です。
ヘルプサイドの2人が非常に良いスペーシングをしているので、ドライブに対してヘルプに行くづらく、いった場合はキックアウトでシュートされてしまいます
先にも書いたように、【スペーシング】は多くの指導者の方が指導されていると思いますが、ここで強調しておきたいのは、スペーシングを良くしてそこを攻めるというのは【位置的優位性】を作って攻めているという整理と共通認識です。
それがなければ、スペースを広く取っても優位性ができていないケースで攻めてしまいます。
こういうケースではOFは確かにダブルギャップを作っているのですが、実際にはスペースはできていないので、ドライブ以外の選択肢が良い選択肢であるケースが多いです。
例えば、3へパスフェイクをして、X3のDFを3へ走らせてからドライブするであったり、3へノールックパスをさばく、ことでショートクローズアウトを発生させるなどです。
あくまでも”DFに対して”優位性が作れているかどうかが大切であり、それを作るための【スペーシング】であるということです。
まとめ
今回はまとめも長くなってしまいました。ご容赦ください。
要点
【位置的優位性】とはつまり「良い位置を占める」ことであり、その良い位置とは
- DFより内側(リング側)
- ゴール下
- 広いスペース
の3つに集約される。
位置的優位性で重要なのは
- 【ポジショニングの戦い】
- 【視野の戦い】
- 【スペーシング】
それぞれについてまずは、DFのミスをつくことが大切。
そこから、DFのミスを誘うようなプレーを行う。
【位置的優位性】のプレーモデル
◆オンボール:インラインを攻める
◆オフボール:
DFの正しいポジション
1.リング側 2.ボール側 が取りずらい
①場所であるゴール下を攻める
②局面であるトランジションを攻める
自分を守らせない、ヘルプさせないための【視野の戦い】
◆DFがボールから視野を切ることでヘルプをさせない
◆DFが自分から視野を切ることで自分を守れない
<原則>
- DFの背後に動く
DFの背中側に動くことで、視野を取りづらくさせ、自分から視野が切れ瞬間に動く - 深さを作る
コーナーとダンカースポットにポジションすることで、DFの視野を取りづらくする。
◆ダブルギャップを作って攻める
ただし、広くスペースを取ったからといって、【位置的優位性】ができるわけではない。
広いスペースを作っても、DFがそのスペースを埋めたら【位置的優位性】は作れていない。